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新潟地方裁判所 昭和63年(わ)54号 判決

本店の所在地

新潟県北魚沼郡堀之内町大字田戸六一番地一

法人の名称

シンコー電気株式会社

代表者の住居

同県見附市市野坪町四九番地

代表者の氏名

小林正晴

本籍

新潟県北魚沼郡堀之内町大字田戸六一番地一

住居

同県見附市市野坪町四九番地

会社役員

小林正晴

昭和二三年二月二五日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官飯塚和夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人シンコー電気株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人小林正晴を懲役一年六月に処する。

被告人小林正晴に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、新潟県北魚沼郡堀之内町大字田戸六一番地一に本店を置き、電子部品の製造等を業とするもの、被告人小林は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人小林は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、棚卸の一部を除外し、害虫加工費を水増計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、一億九四九六万〇〇二九円あったのにかかわらず、同五九年一一月三〇日、同県小千谷市大字file_2.jpg生乙七二五番地の三所轄小千谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七三九五万八一五九円で、これに対する法人税額が二九〇四万〇三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額八二八五万九八〇〇円との差額五三八一万九五〇〇円を免れ

第二  同五九年一〇月一日から昭和六〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億七八五六万五八九三円あったのにかかわらず、同六〇年一一月三〇日、前記小千谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五五七万八四六二円で、これに対する法人税額が一〇八一万七七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額七五五六万四六〇〇円との差額六四七四万六九〇〇円を免れ

第三  同六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、九七五五万三四一八円あったのにかかわらず、同六一年一一月二九日、前記小千谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七四八万六二四三円で、これに対する法人税額が一四二五万六八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額四〇六二万一五〇〇円との差額二六三六万四七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の目標)

判示全部の事実について

一  大塚芳秋、森山広行及び下村貞子の検察官に対する各供述調書

一  大渕新一郎、大塚芳秋(三通)、森山広行(四通)、桜井誠、佐藤真知夫、下村貞子、星久夫、小川茂及び山本金一の大蔵事務官に対する各供述調書

一  小千谷税務署長作成の証明書(記録一九〇号)

一  小林治伸作成の期末棚卸高調査書、期末材料棚卸高調査書、期末仕掛品棚卸調査書及び雑収入調査書

一  朝日忠義作成の減価償却費調査書及び支払リース料調査書

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(二〇通、昭和六二年四月一四日付け、同月一五日付け及び同月二三日付けを除いたもの)に対する各供述調書

一  被告人シンコー電気株式会社小林正晴作成の昭和六三年二月一〇日付け、同六二年九月四日付け(二通)及び同月二四日付け(記録一三二号)各答申書

判示第一及び第二の事実について

一  朝日忠義作成の特別減価償却費調査書

判示第一及び第三の事実について

一  小林治伸作成の雑費(販売管理費)調査書

判示第一の事実について

一  小林治伸作成の脱税額計算書(記録二九九号)及び修正損益計算書(記録三〇二号)

判示第二及び第三の事実について

一  小林治伸作成の期首棚卸調査書、期首材料棚卸高調査書、期首仕掛品棚卸調査書、材料費調査書、福利厚生費調査書、受取利息調査書及び事業税認定損調査書

一  市川靖及び岸義一作成の各答申書

一  被告人シンコー電気株式会社代表取締役小林正晴作成の同年九月一〇日付け答申書二通(記録一二七号、一二八号)

判示第二の事実について

一  小林治伸作成の脱税額計算書(記録三〇〇号)、売上調査書、外注加工費調査書、電力費調査書及び修正損益計算書(記録三〇三号)

一  鈴木登作成の答申書

一  被告人シンコー電気株式会社代表取締役小林正晴作成の同月一〇日付け(記録一二六号)及び同月二四日付け(記録一〇一号)各答申書

判示第三の事実について

一  小林治伸作成の脱税額計算書(記録三〇一号)、工場消耗品費調査書、修繕費調査書、雑費(製造原価)調査書、車輌費調査書、通信費調査書、交際接待費調査書、事務費調査書及び修正損益計算書(記録三〇四号)

一  朝日忠義作成の賞与調査書

一  今井公一作成の「野村證券新潟店調査関係書類」と題する書面

一  佐藤徳之助作成の答申書

一  関武矩作成の証明書

一  坂西誠作成の申し述べ書

一  被告人シンコー電気株式会社代表取締役小林正晴作成の同月一〇日付け答申書(記録一二四号)

(法令の適用)

一  罰条

各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については更に同法一六四条一項)。

一  刑種の選択等

被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用。

被告人小林については所定刑中懲役を選択。

一  併合罪の処理

刑法四五条前段。被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算。

被告人小林については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重。

一  刑の執行猶予

被告人小林について刑法二五条一項を適用。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 奥林潔)

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